歯周病とは
歯周病は、歯肉炎と歯周炎の総称で、歯と歯茎の間に細菌が繁殖することで起こる炎症性疾患です。歯周病は、初期の段階では自覚症状がほとんどないため、気づかないうちに進行し、最悪の場合、歯が抜けてしまうこともある軽視できない病気です。 また近年、歯周病は口腔内だけの問題ではなく、心臓病や肺炎、糖尿病など多くの疾患の発症リスクを高めるほか、歯周病の妊婦は約5倍も早産リスクの高いことも明らかになっています。
歯を失う最大の原因
歯周病は、日本人が歯を失う最大の原因であり、初期の段階では自覚症状がほとんど無いので、気づかない人が多いものです。
歯磨きが不十分なために、歯と歯肉の間に細菌が棲みついてプラークが溜まると、そこに炎症が生じます。これが歯周病の始まりです。初期には自覚症状はほとんどありませんが、次第に赤みや腫れ、出血、排膿、口臭など、様々な症状が起こり始めます。
プラークが石灰化して歯石になると、通常のブラッシングでは取り除けなくなり、歯周病は悪化します。歯と歯肉が付着しているすき間に「歯周ポケット」ができて、さらに炎症が歯肉の内部まで進行すると、歯肉溝が深くなってきます。やがて歯根膜(歯と歯槽骨を繋いでいる組織)や歯槽骨が破壊され、歯を支える力が次第に弱くなって、歯はグラついてきます。このままの状態を放置すると、最終的に歯は抜けてしまいます。
歯周病のセルフチェック
下記のような症状を覚えたら、早めにご相談ください。
- 朝起きた時などに、口の中がネバネバする
- 歯磨きをした時に、歯茎から血が出る
- 歯と歯の間の「すき間」が広がってきた
- 歯茎が腫れたり、膿が出たりする
- 歯茎の色が、赤色や紫色に変化した
- 歯茎が下がり、歯が長くなったように見える
- 揺れている歯がある
- 歯茎がむず痒い
- 歯ぎしりをする
- 口臭が気になる
- 口内炎が生じやすい
- 硬いものを噛むと痛む
- 冷たいものを含むとしみる
当院での歯周病治療
スケーリング
スケーリングとは、歯石を除去することです。歯周ポケットの中に隠れている歯石を、スケーラー(歯石を除去するための専用器具)を使って取り除きます。
歯石の中にはたくさんの細菌が棲んでおり、そのままにしておくと、細菌が歯周組織を破壊してしまいます。
そのため歯周病の原因であるポケット内の歯石を取り除くことが、歯周病の予防と治療には大切なのです。
ルートプレーニング
ルートプレーニングとは、目に見えない歯周ポケット深部に入り込んだ歯石をスケーラーで取り除き、さらに歯根を滑らかな面に仕上げる治療です。
歯周ポケットが深いと、歯肉の下に歯石が付着してしまいます。また、歯根には細菌が出す“毒素”が根面に浸透していきます。そうした歯石や細菌を除去し、根面の汚染物質を取り除くのが、ルートプレーニングです。
ルートプレーニングはポケットの奥深くまでスケーラーを挿入するため、通常は局所麻酔をした上で行います。
フラップ手術(歯周外科治療)
フラップ手術とは、上記のルートプレーニングでは取り切れなかった、さらに深い部分の汚れや、歯垢、歯石を取り除く治療です。 ルートプレーニングと違う点は、歯肉に「切開」を加えることです。 切開により、歯肉の深い部分を直接目で見ることが可能になり、歯根の表面まできれいにすることができます。 なお、治療には麻酔を用いますので、痛みが出ることは、ほとんどありません(ただし患者さんによっては、治療後に腫れが生じることがあります)。
※歯周病の治療で大切なことは、定期的に歯科医院でメンテナンス処置を受けることと、日々の正しいブラッシングです。歯科に定期的に通っていても、毎日の汚れを落とさなければ、意味が無くなってしまいます。正しいブラッシング指導をお受けになり、それを励行していただきたいと思います。